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【世界が注目】いまさら聞けない、小惑星探査機「はやぶさ」と「はやぶさ2」【もうすぐ打ち上げ!】

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みなさん、小惑星探査機「はやぶさ」ってご存知ですか? 2010年に地球に帰還し、流れ星になった映像を覚えてる人も多いのではないでしょうか。 2014年11月30日(日)、この後継機である「はやぶさ2」が打ち上げられます。「小惑星ってなに?」「なにがすごいの?」、そんなあなたのために今日は初号機「はやぶさ」のことも含めてご説明します。

 

初号機「はやぶさ」

 

2003年5月、日本から宇宙に向けて1機の人工衛星が打ち上げられました。その名は小惑星探査機「はやぶさ」、Twitterなどでは、はやぶさくんの愛称で親しまれるようになります。彼は、日本のロケット開発の父、糸川英夫教授にちなんで名付けられた、小惑星「イトカワ」に向けて、長い旅をスタートさせます。

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・そもそも小惑星とは

小惑星とは、惑星と同じように太陽のまわりを回る小さな岩のことです。地球などの惑星はこれら小惑星が衝突を繰り返してできたと考えられています。もしこの小惑星を調査できたら、太陽系や地球の起源がわかるかもしれません。はやぶさは、小惑星から砂や石を集めて、地球に持ち帰る、それが可能かどうかを実験するために打ち上げられたのです。

荒れる旅路と奇跡の帰還

ほぼ予定通りにイトカワに到着したはやぶさ。彼から送られてくる写真で、イトカワが水に浮かぶラッコのような形をしていることがわかりました。

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いよいよ着陸のとき、地球の環境とは異なり微弱な重力しかない小惑星に着陸するのは至難の技です。表面の温度が高く、素早く離れなければ、はやぶさが損傷を受けてしまう可能性があります。さらに、片道で3億キロ以上離れた距離にある地球との交信は、往復で30分もかかってしまうため、これらの動きを全て自分で考えて行わなければなりません。

 

誰もが無事に成功することを祈る中、予想していた事故は現実のものになってしまいました。勢いよく表面に接触したはやぶさは、大きくバウンドした後イトカワの上に取り残されてしまいます。しばらくして自動でイトカワから離れ、体制を取り直してもう一度着陸に挑みますが、今度は着陸時に小惑星表面を砕くために打ち込まれるはずの弾丸が発射されず、サンプルの採取は絶望的とも思われました。

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さらに追い打ちをかけるように地球との交信が途絶、宇宙空間を漂う探査機を見つけるのはとても難しいことです。それでも諦めずに広い宇宙の中を探し続けたはやぶさプロジェクトチーム、1ヶ月半かかって、ようやく彼を見つけ出しました。1度目の着陸失敗により機体はボロボロ、姿勢をコントロールする3機のモーターは全て壊れ、制御に使うガスが漏れ出していました。そんな状態からもあの手この手で姿勢を持ち直し、2010年予定の約2倍の年月を飛行して、地球への奇跡の帰還を果たしました。切り離されたカプセルは無事に地上で回収、はやぶさ本体は役目を終え大気圏に突入し燃え尽きました。最後に彼が撮影した写真は地球の写っている部分を送信しきったところで通信が途絶、最後までドラマを残しました。

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成し遂げた偉業

度重なるトラブルに悩まされながらも、決して諦めることなく地球への帰還に導いたはやぶさプロジェクトチームに、はやぶさは最高の贈り物を届けてくれました。回収されたカプセルの中から、イトカワから舞い上がったと思われる微粒子が発見されたのです。月以外の天体からのサンプル採取は世界初のことでした。これ以外にもはやぶさが達成した記録はたくさんあります。

 

・世界ではじめてイオンエンジン(はやぶさが搭載したメインエンジン)を使った惑星間航行

・世界ではじめてイオンエンジンを使った地球スイングバイ(地球の引力を借りて探査機を加速させる方法)に成功

・世界ではじめて自律制御で小惑星への着陸・離脱

・世界ではじめて大気圏突入カプセルを使ったサンプルリターン

 

などが挙げられます。日本の技術者は少ない予算の中でこれだけの偉業を達成しました。世界に誇れる技術の結集、それが初代はやぶさだったのです。

 

受け継がれる想いと技術「はやぶさ2」

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はやぶさ初号機は、実際に小惑星に行き、そこに着陸して、地球に帰ってくることができるということを十分に証明してくれました。奇跡の帰還から4年、彼から得た技術と、彼を支え続けた人たちの想いを載せて、2号機が宇宙に向けて旅立ちます。はやぶさ2が目指す小惑星は、イトカワよりも地球とタイプが似ていると言われており、持ち帰ったサンプルによる研究の成果が期待されています。打ち上げは12月3日(水) 13:20ごろ、インターネット中継で見ることができるのはもちろん、各地でパブリックビューイングも行われます。轟音と緊張に包まれるその瞬間をみんなで共有しませんか?

 

はやぶさ2パブリックビューイング会場一覧

画像提供

JAXAデジタルアーカイブス (C) 宇宙航空研究開発機構(JAXA)

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ライター名:三井田尚寛 TOKYO PLUS+