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これぞ日本のおもてなし?! オリンピックにちなんで、カラフル5色の『オリンピックごはん』を炊いてみたぞ!
外国の方を食べ物で「おもてなし」するためにはどうすればいいだろう…。
もっともっと日本らしいもので、オリンピックを表現したい…。
日本らしいもの、それはやっぱり私たちの主食であり、日本人が大好きな「ごはん」ではなかろうか。
歴史を振り返ってみると、ごはんは日本人の食生活だけでなく、政治や経済にも大きく関わってきた。
そもそも稲作が始まったのは今から約2700年前の弥生時代。
そこから田の面積や生産高などにより徐々に人々の信頼や尊敬を得るものが生まれ、集落ができ、権力が生まれ……日本の歴史が始まったのである。
著者は先日、東京ミッドタウン 21_21 DESIGN SIGHT の『コメ展』に行ってきたが、その偉大さや日本人との関わりの深さに感動してしまった。ごはんは偉大だ。
そんなこんなで、日本人といったらコメ!日本食と言ったらごはんでしょう!との考えから、今回は2020年東京オリンピックにむけた外国人おもてなし作戦の第1案として『オリンピックごはん』をつくってみることに!
つまり、5色のオリンピックカラーごはんをつっちゃうのだ。上手くいくのかとっても不安だが、物は試し。挑戦をやめたら、人間は成長もできない!
作り方はとっても簡単。オリンピックカラーの食材を水に混ぜ、お米を炊くだけ。
レッド・ブルー・グリーン・イエロー・ブラックのカラフルごはんに乞うご期待だ。
食材の準備
寿司屋は魚にこだわる。ラーメン屋はダシにこだわる。そう、まず重要なのは食材選びだ。ごはんを5色に染めるため、炊き上げたときに色付きの良さそうな食材をそれぞれ選んでみた。
赤はトマト、黄色はカボチャに決定。近所のスーパーにバジルとイカスミが売っていたので、緑と黒も案外早く決まった。
とんとん拍子で色付けようの食材が決まる中、青い食材だけが全く見当たらない。青い食べ物って一体……。かき氷のブルーハワイくらいしか思い浮かばなかったが、あれは食用着色料の青である。
日本の食材で“青”が付くものはたいてい緑色である。信号機ですら緑色である。スーパーに置いてある“ブルー”が付く食材はブルーベリーかブルーチーズだが、ブルーべりーなんて実際のところ紫色……。ブルーチーズに至っては別に緑でもない。カビである。
もはや着色料に頼るほかないのでは……だがしかし、青い着色料というのは外道な気がしないか?
寿司屋もラーメン屋も青い着色料は使わないはずだ。
ここは100歩譲ってブルーベリーが青いってことで、使ってみることに。
というわけで半ば強引に食材選びは完了した。
調理
池袋の某事務所に帰宅し、調理を開始する。
調理方法は簡単、選んだ食材を炊飯器に投入し、水を入れてお米を炊くだけだ。
お米はそれぞれの味に1合ずつ使った。お米はサッと研ぎ、あまり水を含ませないようにする。
まずは一番無難なトマト缶を利用する『レッドごはん』から取り掛かることに。先述の調理法に忠実に、水とトマト缶を入れて炊飯器のボタンをピッとする。
炊飯器が2台あるので、『グリーンごはん』も同時進行で作ることに。こちらは市販のバジルソースを使用。
しかしバジルソースはその成分のほとんどがオリーブオイル。当然ながら分離してしまった。
まあ混ぜたら何とかなるっしょ!と細かいことは気にせず、あとはスイッチを押して炊けるまで待つのみ。人生、時に思い切りが重要である。
ちなみに炊き込み中はバジルソースの方の炊飯器の湯気が異常に臭かったので、お試しの際は換気を十分にするようお勧めしたい。
そして待つこと30分。炊飯器の「ぴー」という音とともにトマトソースの『レッドごはん』が炊きあがった。
一体どんな風に炊き上がったのだろうか。わくわくしながらパカッと蓋をあけると、おお!キレイに赤である。
味はケチャップごはんの塩気がないような感じであった。想像どおりだ、まあトマトだからね。
少々遅れてバジルの『グリーンごはん』も炊き上がる。こちらは春の訪れを感じさせるような美しい緑色。湯気はクサイが味はバジル風味でまあまあ美味しかった。ごはんじゃなくてパスタとかに絡めたらきっともっと美味しかったのだと思う。小麦粉も偉大だ。
残るは、イカスミの『ブラックごはん』と、カボチャの『イエローごはん』。
この勢いでさっさと作ってしまおう!
前述の通り黄色はカボチャ、黒はイカ墨で色を付ける。
カボチャはスープ缶だと思い購入したのに、まさかの温かい牛乳で溶かすタイプの固形スープ缶を買ってしまっていた。水と一緒にして失敗するのは嫌なので、やむを得ず牛乳でご飯を炊くことに。ミルク粥ってことだな!
イカスミの方はパスタ用の物しかなかった。黒々として少しだけグロかったが、見方を変えればお米の白とイカスミの黒が水墨画のようでもある。う~ん、風流だ。
どちらもとりあえず炊いて様子を見ることにし、その間に鍋でブルーベリーの『ブルーごはん』の調理に取り掛かる。
ブルーベリーは糖分が高いため焦げやすく、炊飯器で炊かずに特例で鍋炊きにした。
鍋に水を張り、お米を入れてからブルーベリージャムを投入。あまり青くない……というかやっぱり紫だろコレと思いつつも、炊くことに集中。焦げないように、たまに全体をかき混ぜながら調理した。もはやリゾットである。
そんなことをしているうちに『イエローごはん』と『ブラックごはん』が炊ける。早速OPEN THE 炊飯器!
蓋をあけてみると……、見事にイエローとブラックである。
だが食べてみるとどちらも無味無臭だった。いや、イカスミはちょっとクサイ。しかしきれいに染まっているので目的は達成だ。
そしていよいよ、青くなるかが懸念されたブルーベリーの『ブルーごはん』が炊きあがる頃だ。
よ~し蓋をあけるぞ~、とドキドキしながら鍋の蓋を開く。
先ほど一抹の不安を感じていただけに緊張も一入だ。
パカッ……と蓋を上げると、そこに見えたのはブラックタピオカが浮いた赤飯、という感じの風貌。その光景のすごさに誰もが写真を撮ることを忘れていたので、ご想像にお任せしたい。あえてその場の状況を書くとすると、皆『無言』だった。
とにもかくにも、こうして五色揃ったご飯を眺めると理由もなくただ感動である。
ちょっとこんなの作ってみたりとかして。
結論
このオリンピックごはん、単体での味は微妙だし、ごはん一粒一粒に妙な連帯感がありモサモサと食べづらいが、あんかけなどかければ美味しく頂けるかもしれない。色はとっても綺麗なので外国の方には喜んでもらえそうです。
ちなみに炊き上げたご飯は麻婆豆腐と一緒にみんなで頂いた。麻婆豆腐をかければ何でも美味しく頂ける。麻婆豆腐は偉大だ。
こうして幕を閉じた『オリンピックごはん』でオモテナシ作戦。
食材をもっと検討すべきだった点と、『ブルーごはん』が100歩譲っても青くならなかったことが悔やまれるため、次回は味も考えつつ、着色料も視野にいれて再チャレンジしたいと思う。
また6年後くらいにね。
ライター名:AYAKA